◆「第5共和国」10.26場面の裏話(3)
◆家宅捜索を受けた金鍾泌
金鍾泌の回想で、金載圭率いるKCIAから家宅捜索を受ける場面。
金鍾泌は初代KCIA部長であり、かつては国務総理も務めていた。
5.16軍事クーデター主体勢力であり、言わば第三共和国時代の
朴正煕政権を作り上げた人物とも言える。
字幕では「朴正煕の親族」とされているが、正確には、
朴正煕の姪・朴英玉の夫であるので、「親戚」ではなく「姻戚」である。
左手前が金鍾泌。右隣り中央の人物は、失踪した金炯旭第4代目KCIA部長。
軍事独裁政権下で頭角を現した者のほとんどが失脚の憂き目を
見ているように、彼も例外なくその1人であった。
朴正煕から格別に嫌われていた金鍾泌は、「自意半、他意半」の言葉を残し、
外遊を余儀なくされた事もあった。
帰国後も、度々このような家宅捜索を受けていたのである。
ドラマの中ではおとなしい朴英玉であるが、実際は家宅捜索を受ける度に
ヒステリーを起こし、陸英修女史の元に抗議しに行っていた模様。
このドラマでは省略されているが、前作「第4共和国」では描かれた表現があった。
金載圭は、この家宅捜索の時、同い年で陸軍士官学校では
後輩に当る金鍾泌を「閣下」と呼んでいる。
これは皮肉ではなく、かつて国務総理だった金鍾泌に対して
敬意を表してこのように呼んでいたものと思われる。
しかし、金鍾泌はこの呼称を嫌った。
大権を狙っている事を臭わせるような会話は命取りになるからである。
金鍾泌の通称は、名前のイニシャルを取ってJP。
ドラマの中で、彼はほとんどこの通称で呼ばれている。
他、金泳三にはYS、金大中にはDJという通称がある。
この3人はまとめて「3金」と呼ばれている。 PR
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