◆「第5共和国」10.26場面の裏話(4)
◆コロシマス
金載圭が執務室で拳銃を構え、「殺シマス」と日本語で話す場面がある。
これは彼らが日本統治世代に育ち、日本語を話せる為である。
金載圭は日頃から、会話のポイント部分に
日本語を交えて話す習性があったという。
また、朴正煕らは、密談を日本語で行っていたとも言われている。
ただし、日本人から見れば、独り言なのに
「殺シマス」と敬語を使うのは不自然に感じてしまう。
前作の「第4共和国」にも同様の場面があるが、
この時の台詞は「殺ス」であり、金桂元秘書室長の前では
「殺シマス」と敬語で話すなど、きちんと使い分けられていた。
朴正煕が和装して日本刀を振り回す姿が描かれるのも、
日本統治時代の影響を表している。
◆車智澈の礼拝
車智澈警護室長の初登場は教会での礼拝場面である。
クリスチャン人口が非常に少ない日本人には、傲慢な性格の
車智澈が礼拝をする場面は不自然に見えるかもしれないが、
これは、彼が敬虔なクリスチャンで、朝夕の礼拝を
欠かさなかった習慣を描いているのである。
◆ワンウェイミラー
金載圭が西氷庫分室で拷問を受けている最中、
窓に手をついて全斗煥に悪態をついている場面がある。
あの窓ガラスは、全斗煥側からは中にいる金載圭の様子が見えるが、
実は金載圭の方からは全斗煥らの姿が見えていない。
見えていない筈なのに、さも全斗煥の姿が見えているかのように
叫んでいるのは、金載圭が元陸軍保安司令官で、
西氷庫分室の仕組を熟知している事を表すドラマの演出である。
◆朴善浩から金載圭に渡った拳銃
金載圭が大統領の頭部を狙って2発目を撃った銃は、
最初に使用したワルサーPPKではなく、部下の朴善浩から奪った
S&Wの38口径5連発リボルバーだった。
しかし、何故かこのドラマでは、交換後もオートマティック拳銃を使用している。
この誤りは韓国人視聴者からも指摘を受けていた。
◆申才順の歌
彼女が歌ってる最中に金載圭が発砲するのだが、実際の申才順は
ド音痴で、沈守峰がギターで伴奏するのに手間取るほどの酷さだったという。
ドラマで申才順の歌が上手いのは、緊迫した場面が
間抜けにならないように配慮した為?
◆その他のNG表現
このドラマの撮影は春から夏にかけて行われたので、
10月26日という設定なのに、屋外場面では若葉が
芽吹いている木々が映ってしまっていた。
金載圭の執務室場面では、窓枠の外に紅葉樹林の写真が
貼られていて不自然極まりなかった。
他にもドラマ内では、「不正」を「不定」、「少将」を「小将」と表記するなど、
細かい漢字のミスが見られた。
また、KCIAの庁舎玄関に「情報は国力だ」という標語が
掲げられていたが、実際には、あのような標語は無かったらしい。
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